2004年を振り返って

明日から帰省のためおそらくこれが2004年最後の日記。今年1年を振り返ってみることにする。

[研究部門]

 まずは研究部門。今年は色々なことにチャレンジできた。またCFDのトレンドも自分が始めたころとは大分変わっていることを実感。各種論文はRANS/LESハイブリッドの研究で賑わっており(例えば国内ではCFD18),如何にして簡便に小さなスケールの渦挙動を捉えるかという手法に注目が集まっているようだ。それと伴に,従来使用されてきた衝撃波捕獲スキームは鳴りを潜め,変わって高次精度のコンパクトスキームに注目が集まっている。数年後にはこれらを使用して音波の解析をすることを狙っているようだが,現状はまだまだ問題がありそう。
 気液二相流れに限定すると,こちらも2流体モデルと均質モデルのハイブリッドモデルのようなものが徐々に発表されつつある。さらに,信用性が高まったという理由からか,CIP法やLevel-Set法の改良版が次々と開発され,自由表面問題はこれらの手法を用いて解くのが主流になりつつあるようだ。しばらくはこのようなショートバブルを捕獲するための乱流モデルの構築や,各種モデルのハイブリッドでCFD分野は賑わいそうな予感がする。

[コンピュータ部門]

 遂にというかなんと言うか,IEのシェアがFirefoxの影響で下降し始めた。まだまだ世界的に90%以上のシェアは確保しているようだが,この先どうなるのか。そしてFirefoxもMozzilaと同じように肥大しないかということが個人的には気になる。メーラーは相変わらずOE優勢。他のメーラーは販売戦略でも広告戦略でももう一頑張りして欲しい。セキュリティ対策に泣かされる管理者も多かったはず。
セキュリティといえば,Winnyの問題や,CCCDさらにはコピーワンスなど知財絡みのニュースが多かったようにも思うのが2004年だった。これらの問題の解決にはいずれにしても正解と呼べるものはないわけだし,協会とユーザーがどこで妥協するか,2005年はその辺りに注目して続けて追いかけて行きたい。
 また,ハードの進歩が以前よりも遅くなった感がある。IT-Mediaの記事ではIntelは今年は全く振るっていないようだし,HDDもそろそろ熱的な限界が近く,速度,容量ともに何かブレークスルーが必要のようだ。実際普段スーパーコンピュータを使用している自分としては,とにかくCPU,メモリ,HDD間のアクセススピードを現状の数10倍程度には上げて欲しいと願う。Blue GENEなどスカラー型の並列計算機が世界最高速ランキングのトップに躍り出たようだが,高度な並列化を施したコードでなければ中々この速度は出せないであろう。少なくとも,専門のチューニング技術者がいない研究所においてはやはりまだまだベクトル型が利用しやすいのではないかと勝手な推察をしている。

[その他]

 とにかく異常気象(と言うべきかどうかは不明だが?)の話題が多かった。日本では台風が連続で上陸し多くの地域に被害をもたらし,新潟中越地震も発生。年末(数日前だが)にはスマトラ沖地震と自然災害に泣かされた方々が非常に多かったように思う。幸いにして自分はそういった被害に見舞われなかったが,タスマニアスマトラとプレートのバランスで連続的に地震が起きたとすれば,仙台も例外ではなく近いうちに大地震が来ることも容易に想像できる。地球環境が変わってきているのは理解できるが,それが長期的に見た場合に考えられる変動なのかどうか,ぜひ専門家に明らかにしてもらいたいと願う。(我ながら他力本願が多いな。)
 しかしながら,そのような中で極普通の市民がインターネットを通じて草の根的に様々な活動をしていたことは,明るいニュースとして取り上げられるべきだと思う。(マスコミにとって見れば迷惑極まりない話なので,テレビに出ることは一切無いだろうが)まだまだ影響力としては微小ではあるが,選挙の1票と同様で,何もしなければ何も変わらない。インフラがある程度整った今こそ,そうした活動を通じて,より一層一般市民の声が直接政府に届く環境が整えばと思う。

 不景気には違いないが,これは技術の進歩によるものだと自分は感じている。単純に資金がなくなったというのもあるだろうが,より効率の良い方法を模索した結果,現状があるのであろう。今はまだ他国の安い賃金で雇える人間を使うことで逃げてはいるが,今後はこれが機械に変わってしまう可能性が十分にありえる。人口が増加しても失業者が生活苦にならないような画期的な政策を政府には希望したい。また,同時に自分が将来的に失業しないためにも来年はより一層力をつけるべく頑張らねばならないだろう。今はそれしか自分にできることはなさそうだ。