「大学の話をしましょうか」 森博嗣

国立大学に対する諸々の疑問に、旧帝大の元助教授である森氏が回答する形式の本。
質問内容は現代の世情をよく反映しているもので、少子高齢化国立大学法人化、科研費補助金にまつわる話など様々。
自分も旧帝大にいるわけだが、共感できる考えは多数。とにかく書類の多さには辟易する。せめて電子ファイル化して欲しいところだが、未だに「ハンコ」が必要という理由で書類を用いる。(書類を保管する義務があるという話も聞いたことがあるが)助手<講師<助教授<教授と地位が上がるにつれてそのような雑多な仕事が増大し、本来の研究はできなくなる。何よりもこういった状況を何とかしないといけないのでは?と常々思うわけだが、自分では何もしていないので言う資格無し。
いずれにしても、他の小説ではあまり見られない、”素”の意見が書いてあり、またその意見もマイナな部類に入るもの。読んでみても損はない。