Books

「ハミザベス」 栗田有起

以前読んだアンソロジーの中の作品がよかったので、文庫を購入。 文体はやはりあっさりしていて、さわやかさが好印象。ハミザベスでは、死んだと思っていた父親が本当に死んだという連絡を突然受け、さらに遺産としてマンションを譲り受けた娘を描いた物語。…

「愛がいない部屋」 石田衣良

東京神楽坂にある33階建て高層マンションに住む(あるいはこれから住む)人々の様々な生活模様を描いた10編。 一つもハッピーエンドはないのだが、どんよりとした気分にならないのは不思議。 ニートとなった息子を持つ父親の姿を描いた「ホームシアター」が…

「秘密。」 ダヴィンチ編集部

なんとなく目に留まったのと、軽い気持ちで読めそうだったので購入。 一つの出来事をそれに関わる二人の視点から描いた12偏の短編集。一人の視点からの出来事の描写はたかだか4ページ程度であるにも関わらず、情景が鮮明に浮かぶ。長い文章で細かい説明をす…

「今夜はパラシュート博物館へ」 森博嗣

最新作「レタス・フライ」の最後の5文字の意味がわからなかったため、ネットで情報を入手し購入。 なるほどぉ。話がつながった。ってか、この作品からレタス・フライまでは間にかなりのノベルスを挟んでいて。。。ここで繋げるかよ。みたいな印象。 他の作品…

「レタス・フライ」 森博嗣

Vシリーズ、Gシリーズ(?)の短編を含んだ9編の短編集。 こんな繋げ方をありですか。皆さん年とってるようには見えない。時間軸を整理しないと頭がついていかない。次の「εに誓って」で少しは人物相間がはっきりしてくるのだろうか。いや、それにしても。。…

「コイノカオリ」 アンソロジー

女性作家のアンソロジー。 LOVERS, Friendsに続き読んでみた。あまり聞いたことのない作家が多かったのだが、栗田有起の「なきっつらにハニー」がよかった。設定は非常にドロドロしていそうなのだが、それを感じさせない軽い(表現が難しいが)タッチの文章…

「ダウン・ツ・ヘブン」 森博嗣

スカイ・クロラから続く戦闘機乗り、草薙水素シリーズ3作目。相変わらず飛行シーンの文章の紡ぎ方が最高。下手な映像をみるよりよほどよい。 今作では、草薙水素が基地を離れ、都会にやってくる。そこで目にするものは自分に対する企業の姿勢。不老不死(正…

「容疑者χの献身」 東野圭吾

見事としか言いようがない。 元亭主を殺害した女性とその娘を、同じアパートに住む隣人の数学者、石神が緻密な計算に基づいたトリックにより守ろうとする。 警察の執拗な尋問にも女性と娘は自信を持ってアリバイを語ることができる。それに対し、ほんの些細…

「大学の話をしましょうか」 森博嗣

国立大学に対する諸々の疑問に、旧帝大の元助教授である森氏が回答する形式の本。 質問内容は現代の世情をよく反映しているもので、少子高齢化、国立大学法人化、科研費補助金にまつわる話など様々。 自分も旧帝大にいるわけだが、共感できる考えは多数。と…

「奥様はマリナーゼ」 ほしのゆみ

「http://members.jcom.home.ne.jp/hsnym/」が書籍として発行されたもの。過去の絵日記と新たに書き下ろしも追加されている。 この”奥さん”のネタ作りのセンスは天性のモノだなぁ。。。

「死神の精度」 伊坂幸太郎

死神と6人の人間が織り成す短編集。死神の設定がおもしろい。死神は7日間で死亡候補者の人間を死に導くかどうかの判断を下す。「可」になれば8日目にその人間は死亡し、「見送り」になれば生きる。ただし、自殺や病死は死神の仕業ではない。さて、どんな人間…

「LOVERS」 アンソロジー

I LOVE YOUに触発されて買った女性作家の恋愛アンソロジー。男性と女性でこうも違うか。という分かりやすい例。江国香織はドロドロしてるなぁ。。。ストーリー自体はまぁそれほどでもないんだけど、書き方の問題なのだろうか、まぁ受けての自分の問題である…

「I LOVE YOU」 伊坂幸太郎(他)

6人の男性作家が綴る恋愛短編集。 どの作品もさらっと読めて心地よい。 「透明ポーラーベア」伊坂幸太郎:行方不明の姉に関わったことのある(正確には元恋人)人々と,その弟が偶然(本当に偶然に)水族館で出会う。その偶然に弟は何を思うのか。 この作家…

「恋恋蓮歩の演習」 森博嗣

以前にも読んだけど、再読。 後のシリーズに登場してくる人物が出てくるのかと思ったが、直接は出てこない。しかし、片鱗は見える。現在のGシリーズでは過去のシリーズの登場人物も軒並み登場してくるので、それぞれのバックグラウンドを確認する意味で再読…

「τになるまで待って」 森博嗣

Gシリーズ第3作。 伽羅離館と呼ばれる山奥の洋館。ここは超能力者の別荘であり、そこを7人の人物が訪れるところから物語りはスタート。夕食後披露される異界旅行。その後発生する密室殺人。洋館の入り口は全て閉ざされ、窓の外には鉄格子。携帯電話は圏外の…

「オーデュポンの祈り」 伊坂幸太郎

ちょっとしたことで読み進めるのが遅くなっていたのだが,ようやく読了。 コンビニ強盗に失敗した主人公が気付いたら奇妙な島へ。鎖国が続いたような閉鎖された島には喋る案山子がいて,しかもそいつは予言者だった。 島の人間も喋る案山子に全く驚くことは…

「世界中が雨だったら」 市川拓司

「いま、会いにゆきます」の作者の新刊。3編の短編からなる。 「琥珀の中」:主人公は高校生の少年。少年が恋をした同級生はクラスの誰もが憧れる美少女。図書館での会話がきっかけで二人は急速に接近し、体を重ねるようになる。しかし、彼女は義父を殺した…

電車男

「本」に分類するかは微妙だけど、「電車男まとめサイト」を読了。 なんというか、夢があっていいなぁ。 こういうこともあり得る世の中ってのは希望が持てるし、楽しみも増す。 映画も本もすごい売れ行きのようだけど、一体どうなってるんだろう? 個人的に…

「半落ち」 横山秀夫

ようやく原作を読んだ。 当然主人公、梶聡一郎は寺尾聡をイメージ。思っていたほど警察、検察、新聞社、司法とのドロドロ感はなく、意外とあっさり。 ただ、ラストで看守が出てきたのが映画との大きな違いかな。この作品は映画がよかっただけに、原作を読ん…

「The S.O.U.P」 川端祐人

ネット社会の独立を図るクラッカー集団「エッグ」とそれを阻止するべく立ち上がる元ゲームプログラマ、現ハッカーの話。 オフラインの人間が操作するオンラインRPG上のキャラクターがワームのように世界中のマシンを巡り、世界は大混乱に。 ネットワーク用語…

「解夏」 さだまさし

タイトルの「解夏」を含む4編が詰まった小説集。 「解夏」に関しては、原作を読むと、映画はそれなりにうまいことまとめていたなぁと感心する。小説から得られる雰囲気と映像の雰囲気は同じように感じられたし、多少恋愛モノに走りすぎてしまったことは仕方…

「迷宮百年の睡魔(コミック)」 スズキユカ(原作:森博嗣)

女王の百年密室に続いてのコミック化第2弾。原作を事前に読んでおいてよかった。もはやサエバ・ミチル、ロイディはこの映像しか思い浮かばない。 コミック化に際し、ストーリーはかなりダイエットされているが、その量も絶妙。全く無理なくショートカットで…

「どきどきフェノメノン」 森博嗣

博士課程の学生、佳那の日常の「どきどき」が満載。第1印象は「アメリ」のような感じ。「アメリ」は人のためにちょっとした仕掛けをしてどきどきしていたが、この作品の主人公は自分が「どきどき」するためにちょっと仕掛けをしてみたり、酔っ払うと記憶を失…

「θは遊んでくれたよ」 森博嗣

どうやらGシリーズというらしい、今回のシリーズであるが、前作「φは壊れたね」が登場人物の紹介という位置づけなら、今作はシリーズ全体が少し見えてくる。トリックそのものはなんとなく予想がついてしまう展開だが、シリーズ通しての流れを追ってみたくさ…

「迷宮百年の睡魔」森博嗣

「女王の百年密室」の続編。サエバ・ミチルと相棒のウォーカロン(人造人間)ロイディが謎の島イル・サン・ジャックにたどり着く。女王,首無死体,一夜にして森が消え,海が消える。ミステリの様相を呈してはいるけれど,それよりもミチルとロイディ,女王…

「レイクサイド」 東野圭吾

就職活動で名古屋に行った際に帰りの新幹線で読むため,購入。見事に仙台に戻るまでに読了してしまった。 子供たちの勉強合宿に付き合った一癖も二癖もありそうな4組の夫婦が湖畔の別荘で殺人事件に遭遇。主人公はあまり受験戦争に興味の無い父親で,殺され…

夏のロケット

一気読み。下手すると徹夜して読んでしまいそうだったのを堪えつつ読んだ。高校時代天文部ロケット班なるグループでモデルロケット(と言っても黒色燃料などを用いたかなり本格的なもの)を飛ばして遊んでいた5人が,大学を経て社会人となり,30半ば(と予想…

「ノルウェイの森」村上春樹

村上春樹の作品を初めて読んでみた。「本」というよりは「詩」に近いのか,非常にすらすらと読んでしまった。感想を言葉にするのが非常に難しいのだが,「おもしろい」,「感動した」,「切ない」などという言葉では表せないような感じ。 ただ一言,「読んで…

OUT

読むのに疲れた。心理描写が緻密であり過ぎるために,現実味があり,恐ろしくなる。途中で休憩入れながら出ないと自分には読めなかった。が,作品はすごい。突発的な殺人から死体解体,さらに濡れ衣を着せられたカジノ経営者の復讐劇に至るプロセスの描写。…

いま,会いにゆきます

ブックオフで偶然発見。あっさり二日で読了。賛否両論あるようだが,他者のレビューに出てくるキーワードとしては,「泣ける」「純愛」「ファンタジー」「SF(?)」といったところか。 私の感想としては,よくできたファンタジー小説だな,ということが第1…